歯医者の定期検診に行かないと損失はいくら?将来の治療費をシミュレーション

「特に痛いところもないのに、歯医者へ行く必要はあるの?」

定期検診をすすめられても、このように感じる方は少なくないかもしれません。

確かに、定期的に歯医者へ通えば、その都度費用がかかります。しかし、むし歯や歯周病は、自覚症状がほとんどないまま進行することがあります。痛みや違和感が出てから受診したときには治療範囲が大きくなり、根管治療や抜歯が必要になることもあります。

また、一度治療した歯も、ずっと安心とは限りません。詰め物や被せ物の周囲に再びむし歯ができたり、修復物が破損したりすれば、再治療が必要になる場合があります。

では、定期的に歯医者へ通う場合と、症状が出たときだけ通う場合では、長い目で見ると費用にどのくらいの違いが生じるのでしょうか。

今回は35歳から65歳までの30年間を想定し、「4か月に1回定期的に歯科医院へ通う場合」と「1本の歯で治療や再治療を繰り返し、最終的にインプラント治療まで必要になった場合」をモデルケースとして比較します。

※以下の金額は、費用のイメージを分かりやすくするために一定の条件を設定したシミュレーションです。実際に必要となる治療や費用は、お口の状態、治療内容、使用する材料、保険適用の有無、自己負担割合などによって異なります。

目次

4か月に1回の定期検診を30年間続けると、いくらかかる?

まず、定期的に歯科医院へ通った場合の費用を計算してみましょう。当院では、お口の状態に応じて3〜6か月に1回程度の定期的な受診をおすすめしています。

今回は「4か月に1回」、つまり年3回通院するケースで考えます。むし歯や歯周病の検査・治療、継続的な管理などを保険診療(3割負担)で受けるケースとして、1回の費用を3,000円と仮定すると、

3,000円 × 年3回 × 30年間 = 270,000円

となります。35歳から65歳まで30年間続けた場合、今回の条件では約27万円です。

もちろん、定期的に通っていても、むし歯や歯周病にならないとは限りません。途中で治療が必要になれば、その分の費用もかかります。それでも定期的にお口の状態を確認することで、小さな変化に気づきやすくなり、問題が大きくなる前に対応できる可能性があります。

定期検診に行かないと、どんな治療が必要になる?

「痛くなってから歯医者へ行けばいい」と考えている方もいるでしょう。しかし、むし歯や歯周病は、初期には目立った症状がないことがあります。

むし歯が進行した場合

比較的小さなむし歯であれば、感染した部分を削り、詰め物などで修復する治療で済む場合があります。一方、むし歯が歯の内部まで進んで神経に達すると、状態によっては感染した神経などを取り除く根管治療が必要になることがあります。さらに歯を大きく削った場合は、土台を入れ、その上から被せ物を装着することもあります。

治療後も歯の状態によっては再び治療が必要になり、歯を残すことが難しくなれば、最終的に抜歯を検討することもあります。

一度治療した歯も、ずっと治療なしで済むとは限らない

むし歯を治療して詰め物や被せ物を入れても、その歯が一生治療不要になるとは限りません。年月の経過とともに修復物が劣化したり、歯との境目にすき間が生じたりすると、そこから細菌などが入り込んで再びむし歯になる「二次むし歯」が生じることがあります。また、歯や修復物が欠けたり破損したりすることで、再治療が必要になる場合もあります。

さらに、修復物を交換する際には、以前の修復物を取り除くだけでなく、状態によってはさらに歯を削る必要があります。

既存の修復物を交換する1,337件の判断を調べた研究では、70%で修復する歯面の数が増加していました。

これは「治療した歯の70%が再治療になる」という意味ではありません。修復物を交換することになった場合、以前よりも治療範囲が大きくなるケースが多かったことを示すデータです。

そのため、1本の歯でも、次のように治療が大きくなっていく場合があります。

  • 健康な歯
  • むし歯
  • 詰め物などによる治療
  • 二次むし歯・修復物の破損
  • 再治療
  • 神経まで進行
  • 根管治療・被せ物
  • 再根管治療・被せ物の作り直し
  • 抜歯
  • 入れ歯・ブリッジ・インプラント

すべての歯がこの経過をたどるわけではありません。大切なのは、「むし歯は治療すれば終わり」と考えるのではなく、できるだけ最初の治療を避け、一度治療した歯も定期的にチェックすることです。

歯周病が進行した場合

歯を失う原因は、むし歯だけではありません。歯周病は、歯ぐきの炎症から始まり、進行すると歯を支えている骨などの歯周組織が破壊されていく病気です。

初期には目立った痛みがないことも多いため、気づかないうちに進行する場合があります。重度になると歯がぐらつき、歯を残すことが難しい場合には抜歯が必要になることもあります。

8020推進財団の「第2回 永久歯の抜歯原因調査」では、永久歯の抜歯原因で最も多かったのは歯周病37.1%、次いでむし歯29.2%でした。両者を合わせると、抜歯原因の約66%を占めています。

1本の歯を失うまでに、治療費はいくらかかる?

では、1本の歯で治療・再治療を繰り返し、最終的に抜歯となり、インプラントで補った場合には、どのくらい費用がかかるのでしょうか。ここでは、分かりやすくするために次のようなモデルケースを設定します。

治療内容シミュレーション額(概算)
最初のむし歯治療約3,000円
根管治療約5,000円
土台・被せ物約15,000円
再根管治療・被せ物の作り直し約20,000円
抜歯約3,000円
インプラント(自由診療)約400,000円
合計約446,000円

※上記は比較のために設定したモデルケースであり、一般的な治療費や標準的な費用を示すものではありません。根管治療や被せ物などの費用は、歯の位置や治療内容、使用する材料などによって異なります。インプラントは原則として自由診療です。

この条件では、1本の歯について治療や再治療を重ね、最終的にインプラントまで必要になった場合、合計約44万6,000円となります。ポイントは、インプラントの費用だけではありません。歯を失うまでにも、むし歯治療や根管治療、被せ物、再治療などの費用が積み重なっています。

定期検診30年間と、歯を1本失った場合の費用を比較

ここまでのシミュレーションを比較してみましょう。

項目4か月に1回定期的に通う場合1本の歯が重症化した場合
想定35〜65歳の30年間むし歯治療から抜歯・インプラントまで
定期的な受診費約270,000円
むし歯・根管治療・再治療など必要に応じて別途約46,000円
インプラント費約400,000円
合計約270,000円+必要な治療費約446,000円

今回の条件では、30年間の定期的な受診費が約27万円なのに対し、1本の歯で大きな治療を繰り返し、インプラントまで必要になった場合は約44万6,000円となりました。

しかも、後者は30年間にかかる歯科治療費全体ではなく、あくまで1本の歯だけを想定した金額です。複数の歯で大きな治療が必要になれば、その分だけ費用が増える可能性があります。

一方、定期的に歯科医院へ通っていれば、必ず27万円だけで済むという意味でもありません。途中で治療が必要になれば、別途治療費がかかります。

この比較は、「定期検診に通えば必ず○万円安くなる」という平均的な費用差を示すものではありません。問題が小さい段階で発見・対応し、大きな治療や再治療をできるだけ避けることが、将来的な経済的負担を抑えることにつながるというイメージを示すためのシミュレーションです。

定期管理を受けている人は、歯を失う本数も少ない

定期的なお口の管理と歯の喪失との関係を調べたデータもあります。厚生労働省が紹介している研究では、5年間の観察で、定期的に歯石除去などを受けたグループの1人あたりの平均喪失歯数は0.37本だったのに対し、受けなかったグループでは1.39本でした。

定期的な歯石除去などを受けた人受けなかった人
5年間の平均喪失歯数0.37本1.39本

単純に平均喪失歯数を比較すると、受けなかったグループは受けたグループの約3.8倍でした。

ただし、これは「定期検診を受けないと、歯を失う確率が3.8倍になる」という意味ではありません。歯を失うリスクには、歯周病の状態や喫煙、セルフケアの状況など、さまざまな要因が関係します。

それでも、定期的にお口の状態を管理することは、歯を長く残すための重要な要素の一つといえます。

定期検診で減らせるのは治療費だけではない

メリット

定期的に歯科医院へ通うメリットは、将来の治療費だけではありません。

通院回数や治療時間の負担を減らせる

比較的小さなむし歯であれば、少ない治療回数で済む場合があります。一方、むし歯が神経まで進んで根管治療が必要になった場合や、歯を失ってインプラント治療を行う場合には、複数回の通院が必要になることがあります。

治療が大きくなるほど、診療にかかる時間だけでなく、仕事や予定を調整して歯科医院へ通う負担も増えていきます。問題を早い段階で発見し、大きな治療をできるだけ避けることは、将来の「時間の負担」を抑えることにもつながります。

歯周病は全身の健康とも関係している

歯周病は、お口の中だけに関係する病気ではありません。厚生労働省では、歯周病と糖尿病、脳梗塞、動脈硬化に伴う狭心症・心筋梗塞、呼吸器疾患、慢性腎臓病など、さまざまな全身疾患との関連が報告されています。

特に糖尿病については、糖尿病があると歯周病が悪化しやすい一方、歯周病の状態が糖尿病のコントロールにも影響する可能性があり、両者には双方向の関連が示唆されています。

ただし、「歯周病になると必ず全身疾患を発症する」「定期検診を受ければ全身疾患を予防できる」という意味ではありません。お口の健康を維持することは、歯を守るだけでなく、全身の健康を考えるうえでも大切です。

歯医者の定期検診は何か月ごとに受ける?

当院では、お口の状態に応じて3〜6か月に1回程度の定期的な受診をおすすめしています。今回のシミュレーションでは、その中から4か月に1回として計算しました。

ただし、適切な受診頻度はすべての方で同じではありません。むし歯になりやすさや歯周病の状態、セルフケアの状況、過去の治療歴などによって、必要な間隔は異なります。

「必ず4か月に1回」と考えるのではなく、歯科医師や歯科衛生士と相談しながら、自分のお口の状態に合った頻度で継続することが大切です。

予防歯科・定期検診に関するよくある質問

FAQ section in Japanese よくある質問 with three tooth-shaped icons labeled Q, &, A on a gray background

歯医者の定期検診はどのくらいの頻度で受ければいいですか?

お口の状態によって異なりますが、当院では3〜6か月に1回程度を目安におすすめしています。むし歯や歯周病のリスクが高い方、過去に治療した歯が多い方などは、より短い間隔での受診が適している場合もあります。歯科医師や歯科衛生士と相談し、自分に合った頻度で受診しましょう。

痛みがなくても定期検診を受ける必要はありますか?

むし歯や歯周病は、初期には痛みなどの自覚症状がほとんどないことがあります。痛みが出てから受診すると、すでに治療範囲が大きくなっている場合もあります。症状がないときから定期的にお口の状態を確認することが、トラブルの早期発見につながります。

定期検診では何をしますか?

むし歯や歯周病の有無、歯ぐきの状態、詰め物・被せ物などに問題がないかを確認します。お口の状態に応じて、歯周ポケットの検査やレントゲン撮影、歯石・歯垢の除去、歯面清掃、ブラッシング方法の確認などを行う場合があります。実施する内容は、お口の状態によって異なります。

歯医者の定期検診にはどのくらい費用がかかりますか?

費用は、行う検査や処置の内容、保険適用の有無、自己負担割合などによって異なりますが、むし歯や歯周病の検査・継続管理などを保険診療(3割負担)で受ける場合、2,500~3,000円程度です。本記事では、1回あたり3,000円と仮定しました。4か月に1回、年3回受診した場合は年間約9,000円、30年間では約27万円という計算になります。

定期検診は保険適用ですか?自費診療との違いは何ですか?

むし歯や歯周病の検査・治療、継続的な管理として定期的に受診する場合は、基本的に保険診療で受けられます。保険診療では、お口の状態に応じて、むし歯や歯周病の検査、歯石除去など必要な処置を行います。

一方、病気の検査や治療ではなく、健康状態を確認することだけを目的とした健診や、予防・審美を目的としたクリーニングなどは、自費診療になる場合があります。実際の保険適用や費用は、お口の状態や受ける処置によって異なります。

一度治療した歯でも、またむし歯になりますか?

はい。詰め物や被せ物をした歯でも、その周囲に再びむし歯ができることがあります。これを「二次むし歯」と呼びます。また、年月の経過によって修復物が劣化したり、歯との境目にすき間が生じたりすることもあります。一度治療した歯についても、定期的に状態を確認することが大切です。

歯周病は全身の病気にも関係しますか?

はい。歯周病は、糖尿病をはじめ、脳梗塞や心血管疾患、呼吸器疾患など、さまざまな全身疾患との関連が報告されています。特に糖尿病とは、相互に影響する可能性が示されています。

ただし、歯周病があると必ず全身疾患を発症するわけではありません。お口の健康を維持することは、全身の健康を考えるうえでも大切です。

将来の負担を抑えるためにも、定期的な歯科検診を

今回のシミュレーションでは、4か月に1回、1回3,000円として30年間定期的に歯科医院へ通った場合、費用は約27万円となりました。一方、1本の歯で治療や再治療を繰り返し、抜歯後に40万円のインプラントで補ったモデルケースでは、合計約44万6,000円となりました。

もちろん、定期的に歯科医院へ通えば必ず治療費が安くなるわけではありません。また、定期検診を受けていない方が必ず歯を失うわけでもありません。しかし、むし歯や歯周病は症状がないまま進行することがあり、一度治療した歯にも再治療が必要になる場合があります。

だからこそ大切なのは、「悪くなってから治す」だけではなく、「できるだけ悪くならない状態を維持する」ことです。

定期的にお口の状態を確認し、必要なケアを続けることは、大きな治療や再治療をできるだけ避け、自分の歯を長く残すことにつながります。将来も自分の歯でおいしく食事を楽しむために、症状がないうちから定期的な歯科受診を習慣にしていきましょう。

レミントン歯科では定期検診・予防歯科に力を入れています

三鷹駅北口から徒歩4分のレミントン歯科では、むし歯や歯周病を早期に発見し、できるだけ大きな治療を防ぐために、定期的な検診・メインテナンスを大切にしています。

定期検診では、むし歯や歯周病の有無だけでなく、歯ぐきの状態や過去に治療した詰め物・被せ物なども確認します。お口の状態に応じて、歯石や歯垢の除去、歯面清掃、ブラッシング方法の確認などを行います。

当院では、お口の状態に応じて3〜6か月に1回程度の定期的な受診をおすすめしています。「痛いところはないけれど、しばらく歯医者に行っていない」「将来できるだけ自分の歯を残したい」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

三鷹駅周辺で歯の症状にお困りの方へ。

参考:8020推進財団「歯を失う原因」
参考:厚生労働省「歯の健康」
参考:PubMed「The effect of replacement on the size of amalgam restorations in posterior teeth」
参考:厚生労働省「歯周病と全身の健康」

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